ネムリエ社長コラム
オーベルジュとカーニバル
- ボルドー空港に植えられた若いブドウの苗木
- Puymirolはこの辺り
ボルドー空港に着いたのが(08年)2月29日。
パリでは気温10度以下でコートを手放せなかったのですがフランスでもかなり南に来たボルドーは15度を越しひなたに出るとセーターも脱ごうかな?という気温。
新しい空港の中にはブドウ棚を作るつもりか、まだ若いブドウの苗木が整然と植わっていました。「これは赤ワインしかないでしょ」と胸の中で想いつつ、今日のところはアジェン行きの列車にのるため、空港から鉄道駅に急ぎました。
1時間半、ゆっくりとした列車に揺られアジェンへ到着、ここからタクシーで30分走ったPuymitrol(読み方不明)という町が目的地です。
Puymitrolの町の周りはとてもきれいなフランスの田園風景ですが、その町は細長い丘の上にあり、まわりはきりたった崖のような感じです。(車で登ると耳がすこし痛くなる高さです)
頂上に教会やその日に泊まるオーベルジュがあるのです。
タクシーが到着し、トランクを下しながら大きな木製の扉を叩くと中から品のいい女性が開けてくれました。
- 天蓋付きのベッド
案内された3階にある部屋は18世紀の家具、天蓋付きのベッドです。
ベッドの足元には寝られるような大きさのカウチ、
そういえばパリのギャラリーラファイエット(デパート)のベッド売り場でも脚元にカウチをデザインしたテーブルが置かれていました。
以前、ルイ王朝時代の博物館に行った時に、従者が主人の寝室脇で寝るための場所としてベッドと共にカウチが展示されていましたのでベッドとカウチは相性がよろしいようです。
- ギャラリーラファイエットのベッド売り場
- バスルームのバスタブもだいぶんレトロ、シャワーは別に付いていて困りません。
- テレビなど興ざめなものは隠しています。
- フランスの掛け布団カバーにはこんな形があります。
- ここから掛け布団を入れるだけ、ファスナーは付いていません。
初めてオーベルジュへ泊った時、オーベルジュというものを知らず、きれいなホテルのつもりで日本からインターネットで宿泊を予約していて、
到着後食事を取るかどうか迷っていると変な顔(あんた方なにしに来たの?という顔)をされた事がありました。
まだ明るかったので食事の予約の時間を伝え、ちょっと散歩。
左の地図は山の上の道が描かれています。長さ1kmもないような山の上にだけ町があるわけです。
夕暮れのPuymitrol は建物が石造りでだれも歩いていない静かな町、数世紀前に
タイムスリップしたような感じ、頂上部分をすこし歩くと目のまえにずうっと遠く
まで夕暮れの田園風景が広がっているわけです。感動するほどきれいです。
頂上の周りは360度このような視界が広がっているようです。旅行には非日常感を求めて来るのですが、その意味でこのロケーションは今まででトップクラスです。
頂上部分を半周ほどすると雨が降ってきたので撤収。
着替えて夕食へ、ヨーロッパの高級レストランに行くとテーブルに案内される前にお酒を飲みながら時間を過ごすスペースがあり、今回もそちらを利用するかどうか?を聞かれたのですが、私には食事の前にくつろいだ空間でゆったり時間を過ごす贅沢?が身についていないので「ここで何をしたらいいの?」という感じになってしまいます。
最初はこの場所は待ち合わせなどの為の空間かな?と思ったのですが、今回のように全員揃っているのが判っている場合でも聞いてくれます。
食事の時間だけでも2時間以上ある場合もあるので、おしゃべりならば、食事をしながらでも充分ゆっくりと出来るのですが、やはりこの空間で過ごす時間には意味があるようです。
食事をする部屋のインテリアがまた、なんとも言えない雰囲気で、写真では伝わらないかもわかりませんが、数世紀前のモチーフでありながら、ちょっと風変わりで奇妙な感じも。
ダイニングテーブルの脚はライオンの脚のようなデザイン、壁には4mおきぐらいにろうそくをつかんだ腕がヌッと出ているわけです。
テーブルウエアはゴージャスで天井のシャンデリアのろうそくの火が揺れている空間です。
この地域はトリュフの産地で、地元のトリュフをたくさん使ったコースが季節メニューにあるのでそれをオーダー、産地で食べるトリュフはとても香りが強くびっくり!
以前パリのレストラン、アランデュカスで食べたイタリアの白トリュフとは香りが違っていて、トリュフは産地、種類によっていろいろな香りがあるなあという感じでした。
食事は、この空間にしてこの料理、凡庸を嫌うシェフの感性がいかんなく発揮されているというか、ほとばしっているという感じです。
翌日、帰りのタクシーの中での感想は「不思議の国のアリスの世界に迷い込んだようだったね」
- 時間が近づくと共にどこからともなくいろいろな山車が
集まってきます - これはゲームのキャラクター(大きい)
ボルドーに帰るとすでに夕方。
ボルドーではトラムというきれいな路面電車が1,3ユーロで1時間半乗り放題のため、便利、便利。
「明日は残りの買い物を」と思っていると、その夜日曜日はデパートも専門店、お土産物店もすべてお休みという事が判明!
そうだった、ヨーロッパで何度も同じことを経験していながら、つい日曜日が休みという事を忘れていたのです。
どうする?
翌日、ホテルのフロントで相談すると
「公園は開いている」
(…公園じゃねぇ…)と考えていると
「今日2時からカーニバルのパレードがある」との事、
「何のカーニバル?」「・・・」(答えなし)
「いろいろな人が出るお祭り」
という事で、「仕方ないから行ってみるか」という事でその会場の大通りまでトラムでGO。
レストランは開いていたので、外が見える席を取り
フロマージュ(チーズ)、ステーキ,ド,タルタル(フランス風生牛肉のユッケ)
等と昼間から赤ワインを頼み(計画が狂って半分やけになっている)あまり期待をせず、カーニバルが始まるのを待ったわけです。
時間が近づくにつれ、どこからともなく「いろいろな人」や山車がぞくぞくと集まってきました。言葉はわからないですが、声を掛けてカメラでパチリ!
- 子供からお年寄りまで仮装というかコスプレというかとにかくこんな感じ
- 打楽器に合わせて踊るアフリカ風踊り子がいたり、アフロヘアー、フォークソングの若者
- 3mぐらいある人が寄ってくる(怖い、スカートだがたぶん男) 運転している人もこんな感じ
中でも日本を扱ったグループはどこから資料を持ってきたのか力の入ったコスプレで、武士、姫、花娘、力士、足軽など盛りだくさん、
飾り付けをしたトラクターが引っ張る山車の正面には日本の国旗、のぼりには「お見舞い」(意味は解っていないと思う)「愛」(あい)「寛」(くつろぎ)(仏和辞典から探した漢字だと思うがもう少しで正解)
角には生け花、女の子はサクラの枝を持ち、紙吹雪でお祝い、と日仏友好に力を貸しておりました(といっても日本人はメンバーにはおりません)
このカーニバル、日本の健全パレードのつもりで見ていると…
- かわいいだけで済まないのがこのカーニバルで、この山車の前の方にはこんな人形が置いてあり、クルクルまわっています。(不気味)
- 山車の中のお姉さま(日本女性)もちょっと怖いし色っぽ過ぎるでしょ。
- 3針金製のみの虫(古い靴がいっぱいつるしてある)大きな口のさかな(失礼だけどガラクタ?)恐竜?トリケラトプス?(でもガラクタ)
- ぬいぐるみ号(網にいれたぬいぐるみが吊るしてある、耳は網から出ている)
1人が路上に、かわいいくまのぬいぐるみをたたきつけ、くまから出ている導火線に火をつける(ぬいぐるみの中に爆竹が仕掛けてある)
すると、ぬいぐるみが大音響と共に爆発、火花が散りけむりがモクモク、
そのぬいぐるみの内臓を引きずり出したり、それを蹴飛ばしたりして大さわぎ。
ピエロが反り返って喜び、もう一人のピエロは腹を抱えて道路に転げてまわり大笑い。(左写真)
音楽も何とも言えない異様なもので、パーフォーマンス?アート?おふざけ?わからないままカーニバルはおわりました。
あまり期待していなかっただけに、カーニバルのパワーに巻き込まれ、終ってみると夢中になって楽しんでいた自分たちにもびっくり!
服や音楽、山車なども手作りでちょっと変なものも多かったけど、良く見るとセンスが「さすがフランス」って感じる部分も多いお祭りでした。
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